2012/04/30

もも家の驚き(1)


もも家2階のおおざっぱすぎる見取り図



もも家の一家は、その時々によって普通に暮らしていたり、私を(敬意のこもった仕方で)無視したり、熱心にもてなしてくれたりする、マイペースな人々であった。
気がついたことがある。全員堂々としている。
目が生気に輝いている。
普段の暮らしを恥ずかしがって隠したりしない。
視線が合うと、目をそらさずにニッコリする。
子どもを叱るときには客の前でも遠慮なく叱る。

もも家に限らず、ガイド&運転手さんも、西ブータンの行った先々で出会ったブータン人も、みんな堂々としていた。

娘さんと赤ちゃん。

さすが国技がアーチェリーの国!ちっちゃな頃から遊ぶんだね。


「幸福の国」。国民の97%が「自分は幸せ」と考えるという稀有な国。
私は先に書いた通り、GNHという概念にははなからあまり期待していなかった。
名君として名高い前王が絶対君主制をしいていた時代に考案された政策だ。なかなか「私は不幸です」とは言えまい。

しかし幸福か不幸かはさておき、西ブータン人はマイペースで、堂々なのであった。
中身が充実しているという感じがした。
「人間がここにおる」という感じがした。
人間の存在感が希薄な日本から来た者には、それは驚くべきことに映った。
心の芯がしっかりしているのであろう。心の充実があるとは充分に幸せなことではないか。

そしてもも家は互いのつながりが濃い、幸せそうな家庭だった。

後で書くつもりだが、ブータン人の幸福観は、日本人とはだいぶ違うようである。



さて1泊目の夕方、アパはドツォ(石風呂)を用意してくれていた。(ドツォを体験したい場合はやはり事前に旅行会社にリクエストするほうがいい。手間がかかる風呂だからだ。)

ドツォ&洗濯小屋。



水を満たした浅い木のバスタブがある。一部が木の板で仕切られている。
人の顔ほどもある大きな石をいくつも焚火にくべて熱する。
石が赤く焼けてきたら、でっかい石ばさみでつかんで、バスタブの仕切られた部分に放り込む。
じゅわー、ぼぼぼぼぼ。水が瞬時にして熱湯に変わる。
余熱で全体の水が温まるという仕組みである。


またボケちゃったけど内部。右手前のがドツォ。



外をアパとゲデン氏と坊やたちがうろうろしているのに、ドアが閉まらないのには困った。驚くほど大ざっぱな作りの小屋である。恥じらいを忘れた中年女ではあるが、垂れたおっぱいや「6か月です」みたいなお腹はできれば見られたくない。

どうにか半分ほど閉めたが、今度は真っ暗で手探り状態。
やはりヘッドランプがなくなったのは痛かった。
「ライトはありませんか」と聞いたら、私は懐中電灯のつもりで言ったのだが、

いきなりアパが電線をひっぱってきて電球を灯した。
これにも驚いた。
お手数おかけしました・・・。

湯はむちゃくちゃ熱かった。
外から引かれたホースで水を足す。
そうっと入って、そうっと座りこむ。
浅くて下半身しか浸かれないけど、


きんもちいい~~~!!


ドツォ超おすすめ!!
木の香りと、石のしゅうしゅう鳴る音に包まれて、自然な遠赤外線の効果もあって(たぶん)、非常に癒される。

ドツォ用石炊き場。ちなみに小さなドアの向こうは「牛のごはん」を作る調理場。


手間がかかりすぎる風呂だから、ブータン人は毎日入ることはしないのだそうだ。
(普段はシャワーを浴びたり、濡らした布で体をふくらしい。)
ゲデン氏が石の番をしてくれた。隣の石炊き場で待機していて、ぬるくなると石を足しに来る。昔の日本の「湯加減はいかが?」「んー、薪をもうちょっと」のような、ゆったりした時間だ。
十何歳も年下(30歳)とはいえ、男性がそばにいて会話しながら風呂に入るとは、おつな体験である。彼がドツォ小屋に入ってくるときにはバスタオルをひっかぶって対応した。



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