2012/04/26

やっと本題です

人様にはどうでもいい事前のことを延々と書き連ねてしまった。
なにせ28年越しのブータンへの恋が実ったのだから、私の中では画期的なことだったのである。ぜひともご容赦願いたい。


東南アジアではおなじみの、緑茶なのに赤くて甘い飲料を飲み飲み(なんで機内持ち込みが許可されたのか)、anpanなのにクラッカーな食物を食べ食べ。
一路ブータンへ。
ドゥクエアは「それってプロペラ機?」と聞かれるほどマイナーな航空会社だが、ちゃんと小型旅客機である。落ちたという話はまだ聞かない。ブータン風の衣装を着た美しい乗務員さんがサービスしてくれる。機内食もついてくる。(行きは洋食を、帰りはブータン料理を選んだ。どちらもほどほどの味だった。)

これがドゥクエアのしっぽだ!飛行機マニアにはたまらないんだろうな。

ジャパンは日本語では日本というように、ブータンはブータンの公用語ゾンカ語では、ドゥク(ドゥルク)・ユルという。
「雷龍の国」という意味だ。
なんとかっこいい国名であろうか。
パロ国際空港に近づくと、「窓からチョモラリが見えます」とアナウンスがあった。龍が住む国にふさわしく、長い峰が雲海の上に神々しく横たわっていた。(写真は撮り損ねた。痛恨。)

そして龍の体のようにのたうつ谷間へと、飛行機はアクロバティックに降りてゆくのだった。
本当に平地が少ない国だ。


両側に山が迫ってすごい飛行。


たったひとつの着陸路に到着し、私は記念すべき第一歩を踏み出した。
前夜1時間しか眠れず、朦朧とした頭で。



空港の建物かわいい!管制塔もかわいい!
この国では、新しい建築物にもブータン様式を適用すべしと定めて景観を守っている。たとえコンクリートの建物でも屋根や窓が愛らしく飾られているのである。

日本人の団体が3分の1を占めた乗客たちは、それぞれの道へと散っていった。
私は旅行会社が派遣したガイドさんを見つけられずにぽつねんとたたずんでいた。
すると後ろから声をかけられた。
向こうも私をすぐ見つけられなかったようである。ビザ申請時に送った私の顔写真が実物より美しく写っていたせいであろうか。


レンギョウ


ガイドさんは「Hello. Nice to meet you!(こんにちは。お会いできて嬉しいです)」と笑顔で握手を求めてきた。
私のジャパングリッシュとどっこいどっこいのブータン訛りの人キターーー!!
さだめし「こんちゃ。会えでうんれすぃだっちゃ」というところか。
私もつっかえながら「こっぢこそ、会うたがうれぴーのじゃ」と返した。

私はリスニングが大の苦手だ。特に酔っ払いみたいな巻き舌とだらしないリエゾンのアメリカ英語がだめだ。ブータンは学校教育を英語で行っている。旧宗主国のイギリス風の折り目正しい発音を聞かされるかもしれないと予想していた。アメリカ英語よりはましだけれども、話が通じるかどうか心配だった。

予想をはるかに超えて、話が通じなかった。


しかも勉強したはずなのに、私の英語力は落ちていた。年のせいである。
ガイドのゲデン氏は、訛りはあるものの語学力には何の問題もなく、すらすら話す。私は「プリーズ、ショート・センテンス、ワード、ワード」と頼むしかなかった。

何度もパードン?と聞き返して、少しずつわかってきた。
流暢な発音のブータン人のほうが珍しい。
ブータングリッシュの基本。rは強めのlと発音する。促音は発音しないで飛ばす。roadはloadで、ブック(本)はブクである。


ゲデン氏は初印象からして真面目な好青年だった。
松山ケンイチ@平清盛をガチムチにして身綺麗にした感じ?笑顔がかわいい。


対する運転手のウゲン氏──マネージャーさんと同名。よくある名らしい──は、ニヒル(死語か)でやんちゃなキャラだった。濃い目の顔立ちですらりとしている。私は芸能界にはさっぱりうといので、誰か似た芸能人がいたらどなたか教えていただきたい。知らせてあげたらおもしろがると思う。


ゲデン氏もウゲン氏も、この日泊まった農家のご主人も、口ひげを生やしていた。ブータンの男性の間ではひげが流行していた。


お世話になりますm(_ _)m


私のおんぼろ中古軽自動車より百倍ましなホンダの車に乗り込み、パロ市街へ。
ブータンには他のアジア諸国と違ってちゃんとした車が多い。車を使うという習慣が近年になって入ってきたものだから、いきなりいいのを買うのである。ティンプーではホンダとヒュンダイとタタのショールームを見かけた。
後に続く国ほど途中の段階をすっとばすものだ。ブータンでは固定電話が根付く前に携帯電話が普及した。パソコン通信を知る前にインターネットカフェができた。テレビ局が作られる前に衛星で各国のテレビ番組を視聴するようになった。

28年ほったらかしている間に、秘境は秘境ではなくなっていた。

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