2012/07/30

山火事ですが何か。

原発ゼロの期間は短く終わり、人々が国会を包囲しても首相官邸を包囲しても、再稼働した原発は止まらない。東北の被災地は復興ままならず、巨大な貧困問題と化している。消費税は上がって貧しい世帯を直撃する。その他もろもろ。日本は道を失って詰んでいるかのようだ。
日本の為政者たちには、ブータンのような先進的な国家ビジョンを持つ気はないようである。

国の将来を憂えて更新を2か月さぼるうちに、ブータンの美しい記憶が薄れてしまった。どうしてくれるんだ為政者。(怒

今後は写真を主にしてさくっといくことにする。


ティンプー中心街の背後にそびえる山で火事が起きていた。


めっさ近いんですけど。
じりじりとこっちに近づいてるんですけど。


心配そう・・・でもなさそうに見守る人々。
日本ならば黒山をなしてバシバシ写真を撮りまくる野次馬と、無関心に通り過ぎる勤労者の二手に分かれそうなものだが・・・。これがブータン人気質なのだろうか、見たり見なかったりそこらへんを歩き回ったりと、マイペース。

「私は心配します。火の近くに幾つかの家が見えます。そして火は風によって街に来ます」
非常時にはあまり役に立たないブロークンな英語で言うと、ゲデン氏が人々に話を聞きに行って、戻ってきた。
「誰かの失火が原因のようです。大丈夫ですよ。火の近くの住民は避難しました。いま警察が出動しています。王様も出動するでしょう」
なるほど王様の仕事にはこういうのもあるのだな。・・・というか、「消防隊」はないのかよ、「警察」じゃなくて。警察に消せるのかよ。

とりあえずほっといていいということなので、後ろ髪をひかれる思いで(?)観光に出かけた。


またジブリ的廃墟。

ティンプー郊外の平均的な風景。

民俗博物館。本物の民家に泊まった後でも、これは面白かった。展示は雑だが、昔の暮らしの雰囲気を知ることができる。
古民家を利用している。館内は撮影禁止。軒先には・・・

木でできたソレが。しかも両刀。



チャンガンカ・ラカン。
お宮参り的な寺で、子どもを授かるとお参りする。

布と糸の捧げもの。

笑う髑髏のモチーフはよく見られる。


ターキン動物園。ブータンのナショナル・アニマルで、北の高地に棲息している。

パパとママと子。

鹿などもいる。小坊主さんたちじっと見る。

布を織る人。

糸をつむぐ人。



民家の壁画。まいど。



ドゥプトゥプ尼僧院。
尼さんによる読経を聞くことができた。
女声による読経は滑らかなアルトで、ゆったりと別天地へ誘われるようだ。


かわいい柱の周りに犬がごろごろしている。

玄関前に紙が山積み。

お経でした。この字・・・顕微鏡で読むのかよ。

小さな尼さんが苗木の世話をする。髪の毛は剃ってます。


ティンプー・ゾン。一国の政庁にしては小さく見えるが、近寄ると相当大きい。
撮影禁止とのことで写っていないけれども、実はこの右側に、王様の宮殿がある。ゾンとは逆に相当小さい。質素な暮らしぶりに好感が持てる。国民に愛されるポイントだと思う。(ただし宮殿の隣には、王族やお金持ち専用の広大なゴルフ場がある・・・。)


だいぶ手前で車を降ろされる。国旗を二人の衛兵が守っている。

歩いても歩いても着かないよう。

着いたけど王様用の玄関だから入れないよう。

やっと入ったらでかいよう。

迷路だよう。

なんで1階が日本の建物の3階ぐらいあるんだよう。

細工も見事です。ガルーダ。

壁画も金ピカ。

言うことありません。


夕暮れ時。ブータンには信号が存在しない。
首都の道路は渋滞していた。テレビでよく「ブータンは車もゆったり」とか「道に横たわる犬をよけて走る」とか報じられているけれど、ぶっ飛ばす車もいるので、油断しないように。
おまわりさんがあずまやの中で手を振る、唯一の信号「手旗信号」が名物なのだが、


おまわりさんはすでにおらず、撮り損ねた。左のおっさんが「あーあ、おのぼりさん残念だね」と憐みの目を向けている。
それにしてもラッシュアワーにおまわりさんがいなくなるとは・・・どんな国だ・・・。

ブータン人はいわゆる3Kの仕事をインド人労働者にさせていると先述した。
故郷インドに比べると田舎の国で、やるせないのか。インド人が街の一角に何をするでもなく集まっていた。

道路をふさぎつつある。

ナマステ~。

路地にわらわら。

路地を抜けてもナマステ~。何百人いるの?


ティンプーにはクラブ(ディスコ?)がある。どんな客が来るのか、どんな曲がかかるのか、禁煙国家なのに煙草を吸うという噂は本当か、見てみたかった。しかし杖にすがった状態では無理。「くっそー」と罵りながらあきらめた。(帰国してから「アナンさんならそこを外しちゃダメでしょ」とお叱りを受けた。まったくだ。)

しかしそれなりにナイトライフをチラ見してきた。
時計塔広場でコンサートがあったのだ。



子どもが歌う「リトル・チャンプ」コンテスト。ブータンTVが生中継していた。
客席は幼児から老人まで幅広い層で埋まり、誰も煙草を吸わないし酒も飲まない、健全すぎるナイトライフ。

遠すぎて写らないが若い新人女性歌手が歌っている場面。

笑って喋って、口笛を吹く。拍手はあまりしないのがブータン流。静かだが素直で生き生きとしている。日本の聴衆の機械的な拍手がひどく不自然なものに思えてくる。


で、


会場のすぐ後ろがまだ山火事なんですけど。


ほとんど噴火してるんですけど。

人々は「わー」とか「おー」とか声をあげながらも、一向に動じない。
コンサートは延々と続くのであった。

歌手のことなどいろいろ教えてくれて、噴火時に「撮れ」とけしかけたおじさん。


※火事は翌日までくすぶっていた。警官が一人亡くなったという噂。ご冥福をお祈りします。

2012/05/21

ウスラトンカチ森へ行く

タンゴ僧院&チェリ・ゴンパ、の近くへドライブ。(膝が「もうやめれ」とわめくので、山の上にある僧院&ゴンパには登ることができなかった。)
都会の喧騒を離れたい向きにはティンプー北部はおすすめだと思う。
私は疲労から回復せず、ぼんやりとしたウスラトンカチになっていた。力を抜いて、ただ自然が私を癒してくれるのにまかせていた。



また水力マニ車を発見。
信仰が続く限り、この半永久機関は衆生のためにマントラを唱え続けるのである。


お堂と岩絵。岩絵は2年に1回ほど塗りなおすという。山国の気候では劣化が激しかろう。


てんこ盛りの超ミニ仏塔。

岩絵の下から聖水が湧く。飲んだらおいしかった。腹は壊さなかったよ。

清流に沿ってさかのぼる。
水の轟く音がピュアだ。周囲が森で雑音がないからだ。


お祈り石。

象さん石。

魚さん石。


ウゲン氏が「泳ぎなよ!」とからかうので、「私は自分を洗う必要がありますね」と答えておいた。でももちろん洗わなかった。洗えば目は覚めるけれど次の瞬間に凍え死にするだろうから。



なにもそんなところに住まなくても・・・というような場所に村がある。
四国山脈の「天空の家」を思い出した。あれらはわけもなく斜面に建てたのではなく、昔の山越えの道に沿って建てたものそうだ。ブータンのありえない高さの集落もそうなのだろうか。
いや・・・ブータン人なら「天に近い」とかいう理由だけで高所に住みそうな気もする。


水のお堂。名前忘れた。わかったらカキコします。

蛇さん石。水と蛇との関係は世界各地の信仰に見られる。

何だかわからない写真だがお堂内部。湧水が溜まっている。

マントラ石。

脱力を加速させる落書き。



工事中の寺にも寄ったのだが、何という寺なのか忘れた。本当にウスラトンカチである。

ネパール式仏塔。四角いブータン式とはだいぶ違う。

石と木でできた橋のあたりでのんびり楽しんだ。対岸にお堂が並んでいる。


牛さんが、
角で扉を、
押し開けて、
橋を渡ってお参りにゆきましたとさ。

鳥さんが、
しきりにディスプレイして女の子を呼んでいて、
「あれ?どこいくの?」

ふられましたとさ。


ウスラすぎて書くことがないので、以下は森で出会った風景。

小山の左右に木に隠れた僧院が。

岩陰にぶら下がる茶色い逆さタケノコ型の2つの物体は、巨大な蜂の巣。長さ1mはありそう。




こういう民家もあるのだ。




ブータンは新しい建物を作る際には国産材を使うよう定め、森の循環再生をはかっている。

ひょろ長っ。


ゴ(男の子の民俗衣装)の下はお洒落してるんだね。


芋虫。

小坊主さんが運転。

水力発電所だったような・・・。